マイホームを建てる場合、誰しも少しでもお得に建築したいかと思います。そのため、ZEH補助金を利用しようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金のうち、個人が新築戸建住宅を建築または購入する際に利用できる事業について解説します。また、ZEH以外に注目されている優遇施策についても紹介します。
目次
ZEH補助金の種類と概要
ZEHとは、外皮の断熱性能の大幅な向上と、高効率な設備・システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネを実現できる住宅です。それにより、年間の一次エネルギーの収支をゼロとすることを目指すことが可能ですが、満たす要件等によって補助額も異なってきます。そこで、各事業の概要について詳しく解説します。
Nearly ZEH、Nearly ZEH+:寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る
ZEH Oriented:都市部狭小地の二階建以上及び多雪地域に限る
ZEH(ゼッチ)
[補助金額]
55万円/戸
+ 蓄電池:2万円/kWh(上限20万円)
+ 直交集成板(CLT):定額90万円
+ 地中熱ヒートポンプ・システム:定額90万円
+ PVTシステム:65万円、80万円、90万円 (注)方式、パネル面積により異なる
+ 液体集熱式太陽熱利用システム:12万円、15万円 (注)パネル面積により異なる
[主な要件]
・断熱性能:強化外皮基準をクリア
・省エネ性能(再エネルギー等除く):省エネ基準から▲20%以上
・省エネ性能(再エネルギー等加え):省エネ基準から▲100%以上
[採択方式]
先着方式
[公募期間]
単年度事業:2024年4月26日~2025年1月7日
複数年度事業:2024年11月5日~2025年1月7日
ZEH+(ゼッチプラス)
[補助金額]
100万円/戸
+ 蓄電池:2万円/kWh(上限20万円)
+ 直交集成板(CLT):定額90万円
+ 地中熱ヒートポンプ・システム:定額90万円
+ PVTシステム:65万円、80万円、90万円 (注)方式、パネル面積により異なる
+ 液体集熱式太陽熱利用システム:12万円、15万円 (注)パネル面積により異なる
[主な要件]
「ZEH」の要件に加えて
・省エネ性能(再エネルギー等除く)の向上:省エネ基準から▲25%以上
・以下の再生可能エネルギーの自家消費拡大措置のうち2つ以上を導入
①外皮性能強化 ②高度エネルギーマネジメント ③EVコンセント
★ハイグレード仕様
・断熱等級6以上
・省エネ性能(再エネルギー等除く)の向上:省エネ基準から▲30%以上
・ZEH+の選択要件
①②③を全て満たす→25万円/戸、①+②または①+③→10万円/戸
[採択方式]
先着方式
[公募期間]
単年度事業:2024年4月26日~2025年1月7日
複数年度事業:2024年11月5日~2025年1月7日
ZEH補助金のスケジュール
2024年ZEH補助金の申請スケジュールは以下となります。
子育てエコホーム支援事業
ZEH補助金以外に注目されている事業が「子育てエコホーム支援事業」となります。子育て世帯・若者夫婦世帯にとって注目すべき事業です。そこで、お得にマイホームを取得するために知っておきたい内容について解説します。
目的
エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図ります。
事業概要
[補助額]
40~100万円/戸
■長期優良住宅:1住戸あたり100万円
以下の①かつ②に該当する区域に立地している住宅については、原則、補助額を50万円/戸とします。ただし、立地上の制約から、従前の土地で既存住宅の建替えを行う場合はこの限りではありません。
①市街化調整区域
②土砂災害警戒区域又は浸水想定区域
(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想 定高さ3m以上の区域をいう)
■ZEH水準住宅:1住戸につき80万円
以下の①かつ②に該当する区域に立地している住宅については、原則、補助額を40万円/戸とします。ただし、立地上の制約から、従前の土地で既存住宅の建替えを行う場合はこの限りではありません。
①市街化調整区域
②土砂災害警戒区域又は浸水想定区域
(洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想 定高さ3m以上の区域をいう)
[対象となる方]
・子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれか
□子育て世帯とは
:申請時点において、2005年4月2日以降に出生した子(令和5年4月1日時点で18歳未満)を有する世帯
□若者夫婦世帯とは
:申請時点において夫婦であり、いずれかが1983年4月2日以降に生まれた(令和5年4月1日時点で39歳以下)世帯
・エコホーム支援事業者と、工事請負契約又は不動産売買契約を締結し、住宅を新築または新築分譲住宅を購入(所有)
[対象となる新築住宅]
・長期優良住宅またはZEH水準住宅に該当(証明書等により確認)
□長期優良住宅とは
:長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅で、所管行政庁(都道府県、市町村等)にて認定を受けたもの
□ZEH水準住宅とは
:強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの
=ZEH住宅(ZEH/Nearly ZEH/ZEH Oriented)、低炭素住宅、性能向上計画認定住宅
・所有者(建築主)自らが居住
・住戸の床面積が50㎡以上240㎡以下
・土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域又は災害危険区域(急傾斜地崩壊危険区域又は地すべり防止区域と重複する区域に限る)に原則立地しない
・都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨が非公表
・交付申請時、一定以上の出来高の工事が完了
・新築分譲住宅の購入においては、不動産売買契約締結時点で、未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
[対象となる期間]
契約日の期間:期間は問いません
基礎工事完了(工事の出来高):建築着工~交付申請まで(遅くとも2024年12月31日)
対象工事の着手期間:2023年11月2日以降
※対象工事:一般的に基礎工事の次の工程である地上階の柱、または壁の工事等
[申請者]
予め、エコホーム支援事業者として事務局に登録した事業者
[交付申請期間]
2024年4月2日~予算上限に達するまで(遅くとも2024年12月31日まで)
注意事項
「子育てエコホーム支援事業」を申請した場合、住宅の取得に関するその他の国の補助金制度を併用することはできません。そのため、ZEH補助金との併用は不可となります。
ただし、国費の充当がない地方公共団体の補助制度については、併用可能です。
住宅ローン減税
その他影響が大きい制度として「住宅ローン減税」があります。住宅ローンを利用される方にとっては注目すべき、こちらの制度について解説します。
制度の概要
住宅ローンを利用して新築住宅を取得した場合、最大13年間、各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税と住民税額の一部から控除する制度です。
(注)住民税の控除上限額:97,500円
ZEH水準省エネ住宅:日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅
省エネ基準適合住宅:日本住宅性能表示基準における断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅
その他の住宅:省エネ基準適合住宅の基準を満たさない住宅
主な要件
・自らが居住するための住宅
・床面積が50㎡以上※
・合計所得金額が2,000万円以下※
※:40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額が1,000万円以下
・住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に入居
・店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用
・借入金の償還期間が10年以上
まとめ
昨今の物価や電気代・ガス代の高騰により、日々の支出の減らせる省エネ住宅への関心は、日に日に高まっています。
建築することで、皆さまの家計は勿論、将来の安心につながる省エネ住宅。その中でも、日本が2030年のスタンダードにすることを目指している「ZEH住宅」は、補助金が充実しているため検討すべきと言えるでしょう。
しかし、「ZEH補助金」や「子育てエコホーム支援」を申請するためには、関与する事業者の登録や認定等が必要であるため、検討するハウスメーカー・工務店が申請できるのかどうかは事前に必ず確認しましょう。
このような補助金に関して、最も注意しなくてはいけないのは予算です。今回ご紹介した「ZEH補助金」と「子育てエコホーム支援」は、どちらも【先着順】となります。期限前に申請を打ち切られてしまうケースもありますので、少しでも早い申請をおすすめします。
このように、時期の違いで補助金を受け取れず、何十万円も損をしてしまう場合がありますので、優遇制度を理解した上で、建築スケジュールを検討してみてはいかがでしょうか。
また、2024年から一定の省エネ性能基準を満たしていない住宅は「住宅ローン控除」が受けられなくなりました。住宅ローンを借りる方は、後悔や損をしないためにも、ご自身のマイホームが省エネ基準をどの程度満たせるのか、計画段階で確認するようにしましょう。
運営者情報
「栃木セキスイハイム」編集部
住まいの販売から土地活用でおなじみの栃木セキスイハイムグループが、家づくりの「わからない」にお応えします。建築士・宅地建物取引士など住まいの専門家による監修のもと記事の執筆を行っています。