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COLUMN

延床面積とは?含まれない部分と上手な活用法

2022.10.24

注宅を検討していると、目にすることが多い「延床面積」という言葉。具体的に何の面積を意味しているのか、わからない方も少なくないのではないでしょうか。

 

そこで今回は、延床面積について解説します。また、面積にまつわる他の用語との違いや、延床面積に含まれない建物部分についても紹介します。

 

 

延床面積とは

延床面積とは、建物の全ての階の床面積を合計した面積のことで、居住スペースの広さを表しており、建物面積とも呼ばれています。建物を建てるときなどの建築確認申請や登記、売買、解体する時など、建物の面積が必要な時の基準となります。面積を出す際は、壁あるいは柱の中心を基準として算出します。

 

また、延床面積は容積率の計算で用いられます。容積率は、土地に対する延床面積の比率のことです。建物の高さや奇抜な形状を抑制するために、用途地域ごとに容積率の上限が定められています。

類似した面積にまつわる用語

建築面積

建築面積は、建坪ともいい、建物を真上から見たときに占めている面積のことです。ほとんどの建築物では1階が一番広いため、建築面積といえば1階の総面積を指すことが多くなります。

また、建築面積は建ぺい率の計算に用いられます。建ぺい率は、土地に対する建築面積の比率のことです。用途地域ごとに指定された建ぺい率を超えた場合、建築認可が下りません。

 

敷地面積

敷地面積とは、土地面積とも呼ばれています。建築面積と同様に、土地を真上から見たときの土地の全体面積のことです。真上から見るため、高低差や斜面に関しては正確に計測できないため、実際の面積よりも狭く算定されます。

 

施工面積

延床面積に含まれない施工部分を加えた面積です。法律等による基準はなく、住宅メーカー各社が独自に算定した数値です。そのため、どの部分を加えるかについては各社で異なりますが、一般的に延床面積よりも広くなります。

延床面積に含まれない部分

延床面積は、建物すべての階の床面積の合計のことですが、建築基準法により延床面積には含まれない箇所があります。仮に延床面積を増やせない場合でも、延床面積に含まれない部分をうまく活用すれば、さらに広々とした家にすることが可能です。

では、延床面積に含まれないものにどんなものがあるか紹介します。

 

 

・吹き抜け

延床面積に含まれない代表的な箇所は、吹き抜けです。吹き抜けの上階部分には床がないため、部屋として使うことは難しいと判断され、延床面積に含まれません。

縦に広がりを感じる吹き抜けは、開放的な空間を造ることができます。吹き抜けに窓を設置すれば採光も得ることができるため、さらに心地よい空間がつくれるでしょう。

 

・ベランダ、バルコニー、玄関ポーチ

手すりや外壁などで囲まれていない玄関ポーチ、バルコニーやベランダは延床面積には含まれません。ただし、ベランダやバルコニーは外壁から2mを超える場合、超えた部分は延床面積に算入されます。

自由な広さにできるわけではないですが、2mあれば簡単なテーブルセットであれば置くことも可能なので、十分に楽しめるスペースになるでしょう。また、ベランダやバルコニーの開口部に全開口サッシなどを取り入れて一体感を高めれば、空間を広く見せることも、セカンドリビングのように使うこともできます。

 

・ロフト

ロフトは小屋裏収納ともいいます。一定の基準を満たせば、延床面積には含まれません。

 

《延床面積に含まれない基準》

・天井高1.4m以下

・設置する階の床面積の1/2以下の面積

・はしごが固定されていない

 

シーズンオフの衣料品や使っていない寝具などの収納スペースとしては勿論、書斎や趣味部屋など、プラスαの空間として活用できますので楽しみが広がるでしょう。

 

・ビルトインガレージ

天井があり、壁で覆われている駐車場は延床面積に含まれます。ただし、家の内部にあるビルトインガレージは、建物の延床面積の1/5以内の広さのものであれば緩和措置の適用範囲となり、延床面積から除外されます。1/5を超えた部分については、延床面積に算入されます。

敷地が狭く駐車場を設けるのが難しい方や、車やバイクを趣味にしている方にとっては有効な手段となるでしょう。また、車を駐車していなければ、子どもを遊ばせることや、洗濯物を干すスペースとしても利用できます。

 

・出窓

出窓も基準内であれば延床面積には含まれません。

 

《延床面積に含まれない基準》

・床面から出窓の下までの高さが30cm以上

・外壁面から出た水平距離が50cm未満

・見付面積の半分以上が窓

 

出窓は採光や風通しを良くし、室内を広く見せる効果が期待できます。また、小物や観葉植物を置くなど、さまざまな用途にも利用できるでしょう。

 

・屋外階段

屋外に設置されている階段は、一定条件を満たせば延床面積に含まれません。

 

《延床面積に含まれない基準》

・屋外階段の周長の1/2以上が外部に開放

・階段の天井から手すりや壁までの高さが1.1m以上、かつ、階段の外部に開放されている部分が、天井の高さの1/2以上

 

二世帯住宅を計画、もしくは屋上に上がる階段を考えている人にとっては効果的な方法かもしれません。階段面積の分、広い建物を造ることが可能です。

 

 

生活に必要な家の広さ

家の大きさや間取りは、家族構成やライフスタイルを基に考えましょう。当たり前ですが、人数が少ないのに部屋数が多い間取りでは、使わない部屋がでてきてしまいます。逆に、人数が多いのに部屋数が少なければ、快適な生活がおくれません。

マイホームを画する際、平均どのくらいの広さが必要なのか紹介します。

世帯人数別の基本水準

国土交通省は、世帯人数に応じて健康で文化的な住生活を送れる基本水準(最低居住面積水準)と、世帯人数に応じて豊かな住生活を実現する基本水準(誘導居住面積水準)を発表しています。

 

 出典:住生活基本計画における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準(国土交通省HP)

 

3人家族の場合

最低居住面積水準:40㎡=約12.1坪(35㎡=約10.6坪)

誘導居住面積水準:100㎡=約30.3坪(87.5㎡=約26.5坪)

※()内は3~5歳児が1名いる場合

 

4人家族の場合

最低居住面積水準:50㎡=15.1坪(45㎡=約13.6坪)

誘導居住面積水準:125㎡=37.8坪(112.5㎡=約34坪)

※()内は3~5歳児が1名いる場合

都道府県別の基本水準

国土交通省発表の「一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較」によると、都道府県別の1住宅当たりの平均的延床面積は、栃木県が106.54㎡、茨城県が107.79㎡、埼玉県で87.15㎡、群馬県では107.14㎡となっています。

ちなみに一番狭いのが東京都の65.90㎡、最大が富山県の145.17㎡と、平均延床面積は地域によって大きな差があります。東日本の日本海側の県で、軒並み平均値が広くなっているほか、上位は平野部の広い県が多く現れています。

 

 出典:一住宅当たり延べ床面積の都道府県比較(国土交通省HP)

 

 

延床面積と価格や税金

家の広さについて目安が大まかにご理解いただきましたら、次に気になるのは費用ではないでしょうか。延床面積と費用の関係を解説します。

建物本体価格

マイホームを建てる費用の大部分を占めるのが、建物本体の工事費(本体価格)です。1坪あたりの建築費のことを坪単価と言いますが、一般的には坪単価と延床面積をかけ算する事によって、本体価格を算出することができます。そのため、延床面積が大きくなれば建物本体価格も高くなります。

しかし、延床面積を小さくすれば安くなるという単純な考えは通用しません。なぜなら、キッチンやお風呂などの設備を外すわけにはいきません。加えて、こうした水回りなどの設備はほかの場所に比べて割高です。そのため、延床面積が小さくなると、それらの設備の面積あたりの費用が高くなり、坪単価も高くなる傾向にあるのです。

なお、坪単価の算出方法に明確なルールはなく、住宅メーカーごとに基準が違うこともありますので注意が必要です。

税金

マイホームを建てる際の代表的な税金は、固定資産税と不動産取得税です。

不動産を所持している間に毎年かかり続ける固定資産税と、購入時に必要な不動産取得税の金額は、固定資産税評価額で決まります。

固定資産税評価は建築費の40%〜60%が評価水準となっているため、建築費用が高いほど税金も高くなります。

 

 

 

まとめ

 

延床面積は、居住スペースの広さを表す値です。建築する土地の大きさや用途地域によって制限がでてきます。そうであったとしても、延床面積に含まれない吹き抜けやバルコニーなどを上手に取り入れることで、開放感やゆとりを感じられる空間を造ることは可能です。

家族構成やライフスタイルに合わせ、家族が暮らしやすい住まいを計画しましょう。

 

ただし、延床面積に含まれないものでも工事費はかかります。この部分が増えすぎると、その分、価格が高くなってしまう事もありますので注意が必要です。

 

そのため、自分たちが希望する過ごし方や優先順位を検討し、費用とのバランスを考えることが、満足する住まい造りの大切な一歩となります。

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栃木セキスイハイム
「栃木セキスイハイム」編集部

住まいの販売から土地活用でおなじみの栃木セキスイハイムグループが、家づくりの「わからない」にお応えします。建築士・宅地建物取引士など住まいの専門家による監修のもと記事の執筆を行っています。

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