2009年に太陽光発電で余った電力を電力会社が買い取ってくれる制度がスタートしたことにより、太陽光発電を導入する家庭が急増しました。しかしながら、現在の買取価格は2009年の半値以下。このような状況においては、太陽光発電や蓄電池を搭載するメリットがあまりないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、いま必要とされている住宅をご紹介いたします。
いま必要とされている住宅「スマートハウス」とは?
社会動向
環境問題への取り組みが加速
■世界
2050年までのカーボンニュートラルを125ヵ国・1地域が表明 [2021年4月末時点]
※カーボンニュートラルとは:温室効果ガスの排出を全体として正味ゼロにすること
■日本
[2030年(あと9年)]
温室効果ガス▲46%(13年比)
これは、パリ協定後に国連に提出した削減目標▲26%(13年比)から大幅な引き上げとなっています。
[2050年(あと29年)]
カーボンニュートラルの実現
2020年10月、「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
温室効果ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー起源二酸化炭素については、
2030年度において、2013年度比約45%減を目標としています。
各部門のエネルギー起源二酸化炭素排出量の目安
環境意識が変化
続々と環境配慮型商品やサービスが登場。「環境に良いもの」が商品選択の1つの基準。
・レジ袋有料化
2020年7月1日より有料化がスタート
・UNIQLOダウン
ダウン素材となる水鳥に配慮したサステナブルなダウンを販売
・スターバックス
使い捨てカップ削減のためにリユーザブルグッズを販売
・ボルボ
2030年までに電気自動車(EV)だけのブランドになると発表
エネルギー価格が上昇
家庭での電力料金単価[2019年]が約22%の上昇(10年比)
【要因】
・化石燃料依存度76%。そのほとんどを海外から輸入しており、資源価格に大きく影響を受けた。
・再エネ賦課金が2012年からのわずか9年間で15倍に上昇した。
※再エネ賦課金:固定買取制度を維持するために電気を使う国民全員から徴収するもの
家づくりで考えるべきこと
○エネルギー起源二酸化炭素排出量の削減
○電気代上昇への備え
【施策】
①再生可能エネルギーの最大限導入
全体の18%[2019年]である再生可能エネルギーを2030年には36%にするために、「2030年に供給される新築戸建住宅の約6割に太陽光発電を導入する」ことが目標となっています。
②自家消費(蓄電池・EV)の推進
天候により変動する再生可能エネルギーの有効活用を図る上で、特に重要となるのが蓄電池と明記されました。余剰売電の考えから、買う電力を抑える自家消費へシフトすることが求められています。
いま必要とされている住宅は「スマートハウス」
スマートハウスとは
スマートハウスとは、ITを活用してエネルギーを賢く利用する住宅のことを指します。ここでいうエネルギーとは、創エネ・蓄エネ・省エネに分類されます。創エネは家庭内でエネルギーをつくること、蓄エネは家庭内でエネルギーを貯めること、省エネは家庭内で消費するエネルギーを抑えることを意味しております。
スマートハウスでは、これら3つのエネルギーをHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)というシステムを用いてコントロールし、エネルギー運用の最適化をしていきます。創エネや省エネだけの単なるエコ住宅ではなく、エネルギー全体をマネジメントできる住まいが、スマートハウスなのです。
スマートハウスとスマートホームの違い
似たような言葉で分かりづらいですが、この2つは大きく性質が異なるため混同しないようにしましょう。 スマートホームの特徴は、インターネットの活用にあります。IoT(インターネットオブシングス)を主軸に、住宅のIT化を促し利便性を追求した住宅のことを指します。
一方で、スマートハウスの特徴は、エネルギーの有効活用です。そのため、エコ設備だけでなくエネルギーを最適に配分するHEMSや家自体の断熱性や気密性などの住まいの性能も重要になってきます。勿論、スマートハウスとスマートホームを両立させることも可能です。
スマートハウスに住むメリット
■家計貢献
太陽光発電を設置することで、住居内で電気を作ることが可能となります。外部の電力会社から電力を供給してもらう必要が少なくなるだけでなく、余った電力を電力会社に売却することもできるので、毎月の光熱費を抑えることができます。また、自宅で作り出した電力を蓄電池に貯めておけば、太陽光が発電している時間だけでなく、夜間でもその電気を使う事ができます。
更に、HEMSがあると家庭内で使っているエネルギーの見える化ができます。電力の使用を細分化して把握することで、どこでどれだけの電力を消費していて無駄があるのかを確認できるため、家電の見直しなどを行い、より効率良くエネルギーを活用できます。HEMSに対応している家電製品と連携させると、スマートフォンやパソコンによる遠隔操作や自動制御ができる点も、魅力といえるでしょう。
■環境貢献
スマートハウスで、創エネ・蓄エネ・省エネの3つのエネルギーをコントロールし、エネルギーの有効活用ができることにより、主に化石燃料で発電している電力をできるだけ買わずにいられるため、二酸化炭素排出量を減らすことができます。
快適な暮らしを維持しながら、環境に優しい暮らしを実現できるでしょう。
■防災対策
自家発電ができ、蓄電もしておけるスマートハウスでは、停電などのトラブルが発生した際でもライフラインを確保できます。そのため、災害やトラブルに強い住宅といえるでしょう。
スマートハウスに住むデメリット
■コスト(価格)
太陽光発電を行うためのソーラーパネルは決して安いものではありません。加えて、HEMSや蓄電池などの設備費用を入れると、初期費用で数百万円が必要となるでしょう。また、どの設備においても性能維持や安全性のために、将来的にメンテナンスや交換が必要となりますのでランニングコストもかかります。
解決策として、交付の要件や予算額は時期や自治体によって異なりますが、スマートハウス促進のための補助金を交付していることもございますので、ご検討の際はあらかじめ確認をしておきましょう。
■対応機器
HEMSの通信規格に対応している製品は、まだ多くはありません。そのため、HEMSを最大限に活用するためには、導入するHEMSに対応している製品から選ばなくてはいけなくなります。
これからの「スマートハウス」
いま一般的にスマートハウスといえば、ZEHの基準をもとに作られているものが多いかと思います。しかしながら、これからの時代で求められるスマートハウスは、再生可能エネルギーを最大限に増やし、余剰電力を売却するのではなく自家消費する暮らし方ができる、自給自足率の高い住宅となっています。
自給自足率の高い家は、電力会社から買う電力を極力抑えられるため、とても環境に優しい住宅を目指せます。さらに、買う電気が少ないので将来の電気代上昇にも安心です。
まとめ
太陽光発電や蓄電池のあり方が以前とは少し違うかもしれませんが、今、そしてこれからの住宅にとって必要な設備であることは間違いないのではないでしょうか。日本政府も「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」といった宣言をしております。これから住宅を考えようと思っている方は、ぜひスマートハウスを検討してみて下さい。
しかしながら、スマートハウスを建てたとしても、建物自体の安全や性能が将来的に確保できなくなってしまっては意味がないものになってしまいますので、保証やアフターサービスなどもしっかりと確認しましょう。
セキスイハイムは、「地球と家族にやさしい暮らし」をコンセプトに、地球にとってよいことと、人にとってよいことが重なり合う、持続可能な暮らしを目指しています。栃木セキスイハイムでは、宇都宮市をはじめ、栃木県内に17ヶ所の展示場をご用意しております。スマートハウスに少しでもご興味がございましたら、お近くの展示場までお気楽にお越しください。
運営者情報
「栃木セキスイハイム」編集部
住まいの販売から土地活用でおなじみの栃木セキスイハイムグループが、家づくりの「わからない」にお応えします。建築士・宅地建物取引士など住まいの専門家による監修のもと記事の執筆を行っています。