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COLUMN

マイナス金利解除の影響と家づくりのタイミングについて解説

2024.06.24
マイナス金利解除についてのコラム

17年ぶりに日本銀行のマイナス金利政策が解除されました。

こちらのニュースを受けて、不安に感じている方もいらっしゃるかと思います。ただ、実際に「マイナス金利解除」が、私たちの家づくりにどのような影響を与えるのでしょうか。

 

この記事では、マイナス金利政策の背景から、その解除による市場の変化、そして家づくりへの具体的な影響について解説します。家づくりのタイミングについて考え始めるきっかけにしていただければ幸いです。

 

 

マイナス金利解除の理由

マイナス金利政策の背景、解除の理由について説明します。

マイナス金利政策の背景

日本銀行が2016年に導入した手法であるマイナス金利政策は、経済の停滞を打破するための一手でした。銀行が中央銀行に預ける預金に対してマイナス金利を適用することで、銀行が企業や個人に対して積極的に融資を行うよう促し、経済活動を活発化させる狙いがありました。これにより、住宅ローン金利が大幅に低下し、多くの人がマイホームを手に入れる絶好の機会となりました。

金利解除の理由

では、なぜ今、マイナス金利が解除されたのでしょうか?

大きな理由としては、日本経済の回復が進んできたことです。近年は、物価上昇率が2%を超えており、2024年の春には賃金の上昇率が過去33年間で最も高い水準となりました。

日本銀行はこれらの状況を受けて、経済が物価安定の目標に向かっていると判断し、マイナス金利の解除に踏み切ったのです。

家づくりへの影響

マイナス金利の解除は、家づくりに大きな影響を与える可能性があります。ここで、具体的に影響を受ける内容を紹介します。

住宅ローン金利の上昇

マイナス金利解除により、住宅ローンの金利が上昇する可能性があります。

具体的なシミュレーションを行って、将来の返済計画がどのように影響を受けるかを確認することが重要です。例えば、3500万円のローンを35年間で返済する場合、0.7%の金利では月々の返済額は約9万円ですが、1%上昇すると約11万円に増加します。このように金利の上昇は、家計に大きな影響を与えます。

 

《2種類の金利タイプ》

■変動金利

変動金利は「短期プライムレート」に影響されます。

「短期プライムレート」とは、主要な大手銀行が大手企業向けに短期(1年以内)の期間で融資する際に設定する金利です。この短期プライムレートは、市場の動きによって毎月変わる可能性がありますが、2009年以降は1.475%という数値は変わっていません(2024年4月現在)。しかし、今回のマイナス金利が解除されることで、金利があがる可能性があると言えます。

 

一方で、マイナス金利解除による影響は限定的との見方もあります。

実際に全国銀行協会加藤勝彦会長は、記者会見にて「急速な利上げは想定されず、当面は緩和的な金融環境が継続すると考えられることから金利の急激な上昇や急速な円高に進む可能性は低く、経済や企業経営への影響は限定的と見込んでいる」と発言しています。

 

また、金利が上昇すると企業や個人も新たな資金を借りる際に今まで以上の金利負担が必要になります。そのため、長期間の低金利時代に慣れてしまっている日本の企業や個人にとって急な金利上昇は、景気回復のブレーキになりかねません。

合わせて賃金上昇の状況によりどのように経済が回るか、ある程度様子を見る必要があるため、利上げにはかなり慎重にならざるを得ない状況だと考えられます。

 

※[長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降]参照

 

■固定金利

固定金利は「長期金利」を基準に設定されます。

長期金利の代表的なものに「新発10年国債利回り」があります。投資家が未来の金融環境を推測して市場での取引が行われるため、利回りは常に変動し、固定金利の設定にも影響を与えているのです。

 

このように固定金利の決定は、市場の現状だけではなく、将来の経済状況や金融政策の変更によっても左右されます。実際に、固定金利はマイナス金利に関係なく、2年ほど上昇傾向となっていました。

 

※[財務省 国債金利情報]参照

建築費用への影響

金利の変動は建築費用にも影響を及ぼします。例えば、資材費の高騰や人件費の上昇が予想されます。これにより、建築コスト全体が上昇し、予算オーバーになるリスクが高まります。

2008年の金融危機後には、建築費用が大幅に上昇したという過去もありました。このように、金利の変動は家づくりのコストに直接的な影響を与えることがあります。

資金計画の重要性

これからは家族の将来を見据えた資金計画を立てることが、ますます重要になります。

そのため、予算を見直し無理のない返済計画を立てるために、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。これにより、金利上昇に備えた計画を立てることができ、安心して家づくりを進めることができるでしょう。

今が建築のチャンス?家づくりを考えるタイミング

マイナス金利が解除された今、住宅の建築はいつすべきなのでしょうか。ここから、家づくりのタイミングについて解説していきます。

金利環境のメリット

金利上昇の可能性が高い現状を考えると、金利が低い今のうちに住宅ローンを組むことはメリットでしかありません。低金利で借りることができれば、単純に返済額が抑えられます。

先程お話した例では、金利が1%上昇すると月々の支払いが2万円ほど増加しました。仮に返済額を変えることなく35年で完済した場合、総支払額は約700万円も増加します。このように、まだ低金利の今が建築のチャンスと言えるでしょう。

早期の行動が鍵

金利が上昇する前に行動を起こすことが重要です。

一般的な住宅ローンの元金と金利の割合は、借入残額の多い前半から後半に行くにつれ、金利支払い分の割合は減っていく仕組みになっています。そのため、借入残高の多い前半に金利があがってしまうほうが、返済額への影響は大きくなります。

いかに前半の金利を安く乗り切れるかが、金利の影響を受けづらくするための鍵なのです。

金利上昇のリスク回避策

将来的な金利上昇は、現実的にあり得ることです。そこで、もしもの時のリスクを回避する策を紹介します。

返済期間を長めに設定

5年のローンより、40年、50年と返済期間を長く組むことで、月々の返済額は抑えられます。その余裕が出た分は貯蓄に回しておきましょう。もし金利が上がってしまった場合でも、月々の支払いには余裕を残しておけるので対応ができます。

貯蓄に回していたお金をどこかのタイミングで、繰り上げ返済することで、支払期間を短くしたり、月々の返済額をさらに抑えたりといった対策が可能です。

 

例えば30歳で、40年ローンを組むと70歳で完済かと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、40年ローンを組みながらも、繰り上げ返済を利用しながら65歳で完済できればOKと考えてみればよいのではないでしょうか。

繰り上げ返済は簡単にできますが、支払いを待ってもらうのは難しいことです。

返済期間以上の耐久性やアフターサービスを有した家を選択

上で挙げたような40年や50年ローンを組んだとしても、家が30年しか持たなくては元も子もありません。構造や屋根材、外壁材等に高耐久な部材を使用した住宅を建てておくことも、リスクを回避するためには重要と言えます。

いざという時のために「資産価値」の高い家を選択

住宅は、建てた時点から資産価値はどんどん減っていきます。一般的な木造住宅は、20年後には資産価値がほぼゼロになると言われております。

 

「ローンの残高」と「実際の家の価値(中古での販売価格)」の差が大きくなればなるほど、売却してもローンの支払いがたくさん残ることになります。そのため、資産価値の高い家(高額査定されやすい家)を選択しておくことも、リスク回避のひとつとなります。

 

 

まとめ

 

マイナス金利解除によって住宅ローン金利の上昇が懸念されているものの、当面は緩和的な金融環境が継続する見込みで、金利上昇も緩やかであると見込まれています。そのため、マイホームはまだ先でも良いとお考えの方もいるかと思います。

しかし、安い金利のうちに元金を減らすことが、安心して暮らし続けるために重要となってきますので、今は行動を起こしておいて損はないタイミングと言えます。

 

ただし、建築するメーカーは冷静に判断してください。将来的な金利上昇が考えられるからこそ、リスク回避ができるような、アフターサービスが充実している耐久性のある住宅を選ぶようにしましょう。

 

栃木セキスイハイムでは、住宅ローン事前審査のサポートや専門家のご紹介などを行っており、お客様一人ひとりに合わせたアドバイスを提供しています。

このような無料サポートを活用し、安心して家づくりを進めてください。家づくりは一生に一度の大きな決断です。しっかりとした計画を立て、理想のマイホームを実現しましょう。

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「栃木セキスイハイム」編集部

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