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断熱等級とは?新設された等級5・6・7の違いも解説

2024.08.25
カーボンニュートラルのイメージ

住宅性能のなかでも特に注目されているのが「断熱性」。

しかし、家の断熱性の高さを表す「断熱等級」とはどのような意味があるのでしょうか。2022年に等級が新設されたことを知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、断熱等級について詳しく解説していきます。

 

 

断熱等級とは

正式名称は「断熱等性能等級」といいます。国土交通省が制定した「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められた住宅の断熱性能を表す指標です。

2022年4月に等級5が、同年10月には等級6・7が新たに設けられ、等級は1~7の7段階となりました。数字が大きければ大きいほど熱の出入りが少なくなり、つまりは断熱性能が高いことを示します。

等級が新設された背景

気候変動問題の解決に向けて、世界で取り組んでいる「カーボンニュートラル」を2050年に実現するという目標があります。その取り組みのひとつとして、住宅の断熱性能レベルを向上させるために断熱等級が新設されました。省エネルギーな住宅を普及させ、冷暖房に必要なエネルギー量を減らすことで、温室効果ガスの排出量削減を目指しています。

断熱等級の違い

断熱等級

※ZEH水準

ZEH水準とは、ZEH住宅とするための外皮の断熱性能と一次エネルギー消費量の基準を定めたものです。ZEHとは、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅を指します。具体的には、住宅の断熱性能の向上と高効率な設備システムの導入により、大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギー等の導入を行います。等級4に対して、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量が20%程度削減を目安に設定されています。

※HEAT20

2009年発足の「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略で、同時に同団体が設けた建築物の省エネルギーと室温の2つを指標とした断熱基準の総称としても使用されています。こちらはG1~G3の3段階で制定されており、ざっくりですが、G1≒等級5、G2≒等級6(等級4に対して、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量が30%程度削減)、G3≒等級7(等級4に対して、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量が40%程度削減)と覚えておけば良いでしょう。

 

2025年度以降は全ての新築住宅に等級4以上が義務化されるため、2022年3月まで最高等級だった等級4は実質、最低等級になることが予定されています。さらに、2030年には省エネ基準の水準が引き上げられ、断熱等級5が最低等級になる予定です。

断熱等級の基準

では、どのように断熱等級が判断されるのか解説します。

UA値とηAC値

省エネ基準を満たす数値にUA(ユーエー)値とηAC(イータエーシー)値の2つがあります。

 

■UA値(W/㎡K):外皮平均熱貫流率

室内外で温度差が1℃あるときに建物の表面積1㎡あたりから逃げていく熱量をさします。UA値は小さい数字の方が断熱性能が良いということになります。

 

■ηAC値:平均日射熱取得率

太陽日射の室内への入りやすさの指標で、日射によって取得する熱量を冷房期間で平均し、外建物の表面積で割った数字です。ηAC値も小さい数字の方が断熱性能が良いということになります。

地域区分

日本を外気温や日射量によって8つに分けたのが「地域区分」です。

日本の地域区分

参考:住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム

 

それぞれの地域ごとに等級に必要なUA値・ηAC値の基準値が設定されています。

地域毎の断熱等級基準

栃木県は2~6地域に属しており、最もエリアが多いのは5地域となります。

栃木県の地域区分

参考:住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム

断熱等級の影響

断熱等級を高くすることで、どのようなメリットやデメリットがあるのか解説します。

断熱等級を高くするメリット

・季節を問わず快適な室温を保ちやすい

断熱等級は、高くすればするほど熱の出入りが少なくなるため、外気の影響を受けにくくなります。家全体が魔法瓶のようになり屋内の温度変化が小さくなるため、吹き抜けや高天井の間取りでも、快適で健康的な室温を維持しやすくなります。

 

・ヒートショックリスクの軽減につながる

ヒートショックとは、部屋ごとの気温差などにより血圧や脈拍が急激に変動することで起こる、心臓や血管の疾患です。場合によっては心筋梗塞や脳卒中にもつながります。断熱性能が高い住まいでは、上下左右の気温差が少なくなるので、ヒートショックのリスクを抑えられます。

 

・節電や節約が期待できる

外気の温度の影響を受けにくく室内環境を一定に保ちやすくなるため、エアコンの設定温度を弱めにしても十分な暖かさ・涼しさを感じられるようになり、結果的に節電・節約につながります。また節電は、電気をつくるために必要な化石燃料の使用量削減にもつながるので、地球環境にもやさしいといえます。

 

・補助金を受けられる可能性がある

都道府県や市町村によっては、断熱対策を施した住宅を建てることで補助金を受けられます。これは国が進める「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組みの一環で、断熱対策を含む省エネ対策をした住宅が対象です。また、住宅ローンの金利引き下げや、リフォームに対する支援を行っている場合もあります。

断熱等級を高くするデメリット

・建築費用が高くなる

断熱性を高くするためには、高性能の断熱材を使うことや複層ガラスにするなどといった対応が必要になり、必然的に建築コストが高くなるといえます。

断熱等級の注意点

国が目指すカーボンニュートラルな暮らしを実現するために、断熱等級が重要ということがご理解いただけたかと思います。しかし、一つの数字だけで判断してしまうと、思わぬ落とし穴が待っていることもあります。そこで注意すべき点を紹介していきます。

カタログ数値との差

UA値を計算する際には、天井や壁の断熱材の厚みや性能、窓、玄関などの性能等で計算していきます。そのため、同じ商品でも外壁や窓の量・大きさによってUA値は変わりますので、カタログ数値を算出したモデルプランがどのような内容なのか確認しましょう。

設計通りの施工

設計上の性能と、施工後の性能が同じであればいいですが、雨の日の施工で断熱材が濡れたり、施工不良による隙間などがあれば、当然期待していた断熱性能は発揮されません。

経年劣化やシロアリの被害で、新築当初は良くても、数年後には性能が保てない可能性もありますので、どのように施工・管理されるのか確認しましょう。

気密性能

断熱性能は、よく「セーター」で表現されます。温かいセーターは、空気の層を作り保温の役割を果たします。しかし、いくら保温能力に優れていても、すきまからヒューヒューと風がはいってきたら、せっかくの保温能力も発揮されません。なので、セーターの上に着る「ウィンドブレーカー」の働きをする気密が重要となります。

ウィンドブレーカーとセーターのように、冷たい隙間風を防ぎ、暖かく保温することができて、本当の意味での快適で省エネな暮らしが実現されるのです。そのため、気密性能も併せて確認しましょう。

セキスイハイムの断熱等級

セキスイハイムでは、断熱性・日射性・結露防止対策を行い、2030年以降の未来基準である”断熱等級6標準化”を実現します。そのため、年間を通じて快適に暮らせます。

※省エネ地域区分5~7地域で展開する平屋・2階建ての戸建全商品が対象です。プランや一部採用メニュー等の条件によっては、断熱等級6に適合しない場合があります。

 

まとめ

 

断熱等級とは家の断熱性能を示す指標で、数字が大きいほど断熱性能が高くなります。

2025年以降、断熱等級3以下の新築は建てられなくなり、2022年3月まで最高等級だった等級4が実質の最低等級となることが予定されています。さらに、2030年には省エネ基準の水準が引き上げられ、断熱等級5が最低等級になると見込まれています。

 

家族の健康維持や、毎日の快適性に加え、地球温暖化に伴う猛暑日の増加、将来的な建物の資産価値も考えると、今後、新築物件を建てる場合は、最低でも等級5、できれば等級6(「HEAT20」G2レベル)を目指した方が良いかもしれません。

 

また、断熱性能を高めるためには、気密性や空気の流れも重視しなければなりません。いくら高性能の断熱材を使っても、ダウンライトやコンセントを取り付けたときに空けた穴や、サッシのすき間風が入るようでは効果が落ちてしまうためです。

このように、高断熱の家にするには気密性を高める技術が必要となり、それは職人の腕によるところが大きいです。そういった意味でも、C値とよばれる気密性を示す値を1邸毎に測定してくれるなど、断熱性だけでなく、気密性も重視している建築会社に相談することをおすすめします。

運営者情報

栃木セキスイハイム
「栃木セキスイハイム」編集部

住まいの販売から土地活用でおなじみの栃木セキスイハイムグループが、家づくりの「わからない」にお応えします。建築士・宅地建物取引士など住まいの専門家による監修のもと記事の執筆を行っています。

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